顧問先を増やして売上を上げれば、幸せになれるのか?
前回は、「高付加価値化は時間単価で考えるクセをやめる」について考えました。今回は、「顧問先を増やして売上を上げれば幸せになれるのか?」について書きたいと思います。
先日、ご相談をいただいたある所長先生が「とにかく顧客を増やし、売上を上げれば、社員に給料をたくさん払えるようになると思っていましたが、どうやらその考えは間違っていたことに気づきました」とおっしゃいました。
この先生は開業15年で社員数25人、売上約2億円まで伸ばされました。
開業当時は金融機関や顧問先を中心に紹介で伸ばし、税理士法が改正になって、競争環境が激化してからは税理士紹介会社とWEB集客で伸ばしたそうです。
その当時は「とにかく低単価でも何でも、顧客数を伸ばし、売上を上げれば、事務所も大きくなって、社員にも高い給料を払えて、結果的に幸せになれる」と信じてやって来たそうです。
しかしながら、振り返ってみたら、いつしか
・件数が増えたので、人手が足らなくなり、人を入れる
・人を入れると件数は増えるが、単価は安いので、利益率が下がる
・利益率が下がると、給料もなかなか上げられない
・更に、職員も「もともと記帳代行がしたい訳ではない」ので疲弊してやめる
・やめるからまた採用するが、人が入ると教育に手が掛かる
という循環に陥ってしまった。
それでも人がとれた頃は良かったが、今は人の補充もままならず、このままでは、いけないと思うようになった。
そして、「大谷さんのおっしゃるように“高付加価値化”に舵を切らないと会計事務所が幸せになる道はないのだと気づきました」とおっしゃいました。
読者のみなさまは良くご存じのように、私は、低価格顧問に代表される「代行業務+α」の業務は、
・低付加価値業務を志向する人材を
・安定的に雇用できる環境があり、
・しかも、低付加価値業務でも利益がでるオペレーションの仕組みがない事務所が参入しても、決して幸せになることはできない
と申し上げてきました。
これまでは、環境変化の端境期(はざかいき)で、何とか騙しだましやって来られたかもしれませんが、いよいよ過去のビジネスモデルは終焉を告げ、新たなモデルに考え方と事業を適合させないと生き残れなくなってきました。
所長先生が考え方を変え、方針を変更し、それを職員の方々が理解し、お客様が徐々に変化し、売上構成が変わるまで、数年はかかります。
立ち行かなくなってから慌てても、間に合わないことはあります。
早めの準備が必要ですね。
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