売上1億円突破を目指す事務所経営者が準備すべきこと その1
今回からは5回に分けて「売上1億円突破を目指す事務所経営者」向けに書いてみたいと思います。
第1回目は「事務所の目的とビジョンを明確に示す」です。
会計事務所が売上1億円を突破する上で、最大の課題は「人の定着」であると言っても過言ではありません。
ケースとしては
・やっと採用し、戦力になりかけた職員が半年、あるいは1年足らずで退職してしまった
・数年一緒にやってきて、彼(彼女)なら、所内を任せられるだろうと思っていたベテランが退社した
・税理士になって、やがては一緒に税理士法人化できるだろうと目論んでいた資格者が独立した
・そして、上記に伴って、大事な顧客も流出した
これらが、何度も何度も繰り返され、売上が伸びては減り、伸びては減りを繰り返し、何年も何年も同じくらいの売上を行ったり来たり・・・という事務所は数えきれないくらいあります。
では、なぜ多くの事務所がそのような状態に陥ってしまうのでしょうか?
その理由はズバリ、「職員の方々と事務所の目的やビジョンが共有されていないから」です。
みなさまもお感じの通り、会計事務所というのは極めて独立志向の高い方々の集まりです。
そのため、すべての方が下記に該当するとはさすがに申しませんが、
以下のような考え方で働いている方が多いことも事実です。
例えば、
・既に何科目かお持ちの方は、5科目揃って独立するまでの準備期間として働いている。
・税理士試験を受験する方々は、勉強しながら働いている。(働きながら勉強するのではありません)
・税理士になることを諦めた方も、「手に職がある」という根拠のない自信のもと、転職の機会を伺っている。
つまりは、それぞれが「いつかはこの事務所からいなくなる日」を夢見て働いている、ということです。
では、どうしたら良いのか?ということですが、
まずは、職員の方々に「事務所が目指していること=働く目的」を明確に示すこと、
次に、「N年後に事務所がどうなって、その時、職員の方々にはどのような未来が用意されているのか」いわゆる、ビジョンを示すということです。
前述のように職員の方々は、「それぞれの目的」を持って働いていますが、それは個々人の問題なので、それを変えることはできません。
しかし、個々の目的は目的として、「事務所としての目的」を示し、賛同してもらうことはできるでしょう。
また、職員の方は、「この仕事は20数件の顧問先を抱え、申告書を作り続ける毎日をこれからも永遠に繰り返すだけ」と思っていますから、どこで働いても同じなら、少しでも給料が高くて働き易い事務所で働きたいと思っています。
しかしながら、今の事務所で働いていても、十分に明るい未来が描けるということであれば、余計なことは考えずに、「今の事務所で働き続ける」という選択肢も出て来ます。
ですから、これから売上1億を目指す事務所を本気で作ろうと思うなら、税理士になる云々は関係なく、何のために働くのか?という事務所の目的を明確にし、その上で、事務所としてのビジョンやキャリアプランを示すということが大切なのです。