中小企業の業務効率化の妨げは会計事務所?
2021年4月1日 中小企業でも同一労働・同一賃金スタート
こんにちは。大谷です。
早速ですが、昨年スタートしました働き方改革関連法の一環として、2021年4月1日から中小企業でも同一労働同一賃金の実施が義務付けられました。皆様の顧問先様も対応に苦慮されていらっしゃることと思います。
このような「働き方改革関連法」の各種施行に伴い、昨今、中小企業では労働時間の短縮に伴う生産性の低下を回避すべく、ITを使った業務の効率化・生産性向上に取り組んでいます。皆様の顧問先様でも取り組んでいらっしゃることでしょう。
しかしながら、この「中小企業のIT化への取り組みの進展」に伴って、会計事務所が効率化のボトルネックとなっていることを本日はお伝えしたいと思います。
なぜ、会計事務所が効率化の妨げとなるのか?
冒頭に触れましたように、働き方改革関連法の施行に伴って
- 残業時間の上限規制
- 有給休暇の取得の義務化
- フレックスタイム制の見直し
- インターバル性の普及促進
- 高度プロフェッショナル制度の新設
- 同一労働・同一賃金の実現
- 中小企業での残業60時間超の割増賃金率引き上げ
- 産業医の権限強化
などの対策が求められています。
このうち、有給休暇の取得の義務化やフレックスタイム制の見直し、高度プロフェッショナル制度の新設、同一労働・同一賃金の実現などは、各企業内部での制度変更などが必要となるため、個別に対策を考えられていると思いますが、残業時間の上限規制や中小企業での残業60時間超の割増賃金率引き上げ等は労働時間を短縮する努力が必要になると同時に、時短による生産性低下を回避しなければ企業の業績にも直結するため、多くの中小企業がIT化による業務の効率化・生産性向上に熱心に取り組んでいます。
業務の効率化・生産性向上のための取り組みとは?
では、多くの企業で業務の効率化・生産性向上のためにどんなモノを導入しているのか?と言いますと、
- 日報管理・業務管理に役立つグループウェア
- ファイル共有・データ共有のための情報共有ツール
- オンラインやタイムリーなコミュニケーションを可能にするツール
- 定型的な業務のRPA化
- 外部委託可能な業務のアウトソーシング化
- 経費精算・旅費精算などの入力システムの導入
- タイムカードと連動する給与計算ソフトの導入
- 経費や旅費、給与、売上、請求書等が連携した会計システムの導入
などが挙げられます。
上記と会計事務所がどう関係するのか?と言うと
では、ここに挙げた内容と会計事務所がどう関係するのか?と言いますと、
- 経理のようにアウトソーシングしやすい業務についても、会計事務所に依頼をすると渋る
- 外部のアウトソーシングに依頼しても、現在の会計システムと連携できない
- 同じく、経費・旅費・給与・請求書などのデータと現在の会計システムが連携できない
- 会計データが入ったサーバーを撤去して全てをクラウド化したくても、会計事務所の都合で撤去できない
などの要因があるからです。
ですから、全ての事務所がそうであると言うつもりはありませんが、中小企業(顧問先)にとっては会計事務所が業務効率化のボトルネックとなって、効率化が進まない、といったケースが多く見られます。
しかも、こうした業務効率化に熱心な企業は、従業員10名以上、売上1億円以上といった「会計事務所が最も顧問先にしたい規模の会社」であるため、比較的規模の大きな会社から先に「業務の効率化対応の遅れ」を理由に解約となっているのです。
ですから、是非、これまでのクラウド化対応やIT化対応に熱心でなかった皆様は、IT化対応の遅れが会計事務所解約の要因となっていることをしっかりと理解し、対応を急いでいただくことを強くお勧めします。