多様化する顧客ニーズに対応した顧問料を準備する
こんにちは。大谷です。今回は「多様化する顧客ニーズに対応した顧問料を準備しよう」です。
コロナ禍で税理士に対する顧客ニーズは更に多様化する
前回のブログでも、会計業界のライフサイクルの進展に伴って、顧客ニーズが多様化する旨をお伝えしましたが、実はコロナの影響でも顧客ニーズは多様化します。
今年も日本国内のみならず、全世界レベルでコロナウィルスが猛威を奮っています。昨年の今頃は、秋冬前には落ち着くのでは‥などという声もありましたが、、このままの感じでは2021年内に落ち着くのかどうかも怪しい感じがします。ですから、今年も世界レベルで景気は減速するでしょうし、昨年は持続化給付金や緊急融資で何とか持ちこたえた企業の倒産や廃業なども相次ぐことが予想されます。
仮にそこまで業績が悪化していない企業でも、固定費削減の選択肢の一つとして、税理士事務所の顧問料の見直しには着手することでしょう。
顧問料に対する顧客ニーズは大きく3つ
実は顧問料の見直しに関して、中小企業経営者の考えは以下の3つに集約されるようです
- 同じサービスなら少しでも安い事務所に依頼したい
- そもそも顧問契約自体要らないから、決算だけとか訪問レスとか、必要なサービスだけに絞りたい
- こういうご時勢なので、高い顧問料を払ってでもしっかりやってくれる税理に頼みたい
私が全国の先生方とお話をしていますと「うちは安い客(仕事)はやりたくないので断っているのですよ」という事務所が結構あるのですが、私は今年は特に、1.同じサービスなら少しでも安い事務所に依頼したい、とか2.そもそも顧問契約自体要らないから、決算だけとか訪問レスとか、必要なサービスだけに絞りたい、というお客様が例年以上に増えると思いますので、私は「安い仕事はやりたくない」と断るのではなく、顧問料が高くても安くても儲かるような料金設計をして、コトに備えるべきであると考えています。

そもそも、なぜ近年会計事務所は儲からなくなってしまったのか?
では、近年、なぜ会計事務所は儲からなくなってしまったのか?ということですが、私がそれを一言で申し上げれば「顧問料に関係なく担当者が過剰サービスをするから」であると考えています。
下の図を見ていただきたいのですが、中小企業の税理士事務所に対する要望は様々あります。ただ、大まかに言えば、小規模・零細企業はアウトソースニーズ、5,000万円超の企業は税務+よろず相談、5億円程度から上は専門性の高いサービス分かれると思っています。
その中で問題なのが
- 本来は記帳代行と決算申告だけで良いのに、求められてもいない資料を作成しての月次訪問
- 顧問料が高くても安くても関係なく「よろず相談」に全力で対応する担当者
私はこの上記2つの行動が会計事務所の収益と生産性を著しく低下させていると考えています。

その原因は顧問料の中身が明確に決まっていないから
では、なぜそのようなことになってしまうのでしょうか?
それは、顧問料は決まっていても「顧問料の中身」は決まっていないからです。
このブログをお読み下さっている方の事務所でも、顧問料は1)お客様の売上規模、2)記帳代行の有無、3)訪問頻度、は決まっていると思いますが、その中身まで決まっていないのではないでしょうか?
ですから能力のある担当者であればあるほど、お客様に聞かれれば聞かれただけ答え、場合によっては宿題を貰ってきて、無償で奉仕します。また、本来は申告と記帳だけやってくれれば満足なはずのお客様に、隔月訪問する度に、会話が続かない(間が持たない)からと、頼まれてもいない資料を作成し、丁寧に説明するから、低価格にもかかわらず、いつしかそれが「標準のサービスとなってしまう」というものです。
ですから、しっかりと「顧問料の中身を決めてあげる」ことが事務所の収益向上と生産性の向上には不可欠であると同時に、担当者の方にとっても精神的・時間的負担を軽減につながり、ありがたいことなのです。是非、顧客ニーズの多様化と併せ、改善したいものです。
