”不況”も”環境” 会計事務所への影響は?
様々な方々やメディアがコロナ後(WITH コロナ?)の世界についていろいろ情報発信をしていますが、世界レベルでのGDPの下落、失業の発生、倒産の大幅増など、かつての世界恐慌と同等がそれ以上の不況に陥ると予測していますね。
ただ、経営に限らず、ダーウィンの進化論になぞらえれば「生きること=環境に適応すること」であるならば、これから起こるであろう”不況”も、”我々を取り巻く環境変化の一つ”である以上、不況期は不況期なりに経営するしかないように思います。
では、会計事務所がこの不況期を迎えるにあたって意識すべきことは何でしょうか?。
1.必需品と非実需品が明確に区分される
不況期は消費者のお財布の紐が固くなりますので、普通にしていれば「必需品」は売れても「非必需品」は売れなくなります。
では、会計事務所の商品のうち、必需品とは一体何でしょうか?ということですが、狭義で考えれば「決算申告」とそれに付随した「記帳代行」だけということになるでしょう。
ですから、これまでの会計事務所経営を支えていた「顧問契約」という優れたビジネスモデルも、コロナ禍を契機に揺らぐ可能性が高いことは考えておいた方が良いでしょう。
2.「モノからコトへ」のトレンドが「コトからモノへ」に逆戻りする
ここ数年、多くの会計事務所が「これからは付加価値型サービスだ!」ということで、経営計画やMAS、財務コンサルに舵を切ってきましたが、経営計画やMAS、財務コンサルは果たして「モノ」か「コト」か?と言われれば、これらは「コト」にあたると言えるでしょう。
これまで、会計事務所の方々は、経営計画やMAS監査、財務コンサルについて
「我々はあくまでも財務の視点でアドバイスをするだけで、業績向上のお手伝いはしませんので‥」を言い分にしていましたが、 不況期は、具体的に業績を上げるコンサルティング支援か、実際にお客様を紹介するような「実弾型のサービス」でないとお金を払わなくなりますので、 「アドバイスだけ」でお金をいただくという商売は厳しくなることでしょう。
3.”人柄勝負”は通用しなくなる = 専門性回帰
これは不況とオンライン化の両方から派生する問題ですが、本来、会計事務所のサービスは「税金やお金にまつわる専門知識と専門サービスの提供」であると思います。
しかしながら、平常時は税金や各種手続きを滞りなくやっていれば、
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あとは
- 愚痴を聞いてくれたり
- 経営にまつわる世間話の相手になってくれたり
- 他の会社や同業他社の情報を教えてくれたり
といったように、嫌われず、愛想よく、話しているとホッとする、といった 「人柄」の良い人であれば、特に問題なく仕事ができたと思います。
しかしながら、オンライン化に伴って、余計なことが削ぎ落され、世間話もそこそこに要件のみの会話になり、更には不況期の特徴である「実のあることにしかお金を払わない」という傾向が顕著になると、会計事務所に期待される価値も「税金やお金にまつわる専門知識と専門サービスの提供」という本来価値がより重視されるようになることでしょう。
ですから、会計事務所及び会計事務所の担当者も、今まで以上に専門性を高めて行かないと勝ち残ることが難しくなることが予想されます。
※逆に代行業に徹して専門性の高いサービスは一切やらないという選択肢もありますが…
このように、不況に伴う顧客心理の変化は挙げればまだまだありますが、大事なことは「そうだとしたら、我々はどうするのか?」という打ち手を考えることこそが”不況という環境”に適合することであると思います。
是非、これから続く不況期を知恵を絞って乗り切って行きましょう。