会計データのチェックに時間を費やし、「頑張ってる自分」を演じていませんか?
先日、複数の会計事務所の複数の中堅職員の方に、「仮に自計化している顧問先に訪問したとしたら、どんな時間の使い方をしているの?」と月次の中身をホワイトボードに書いてもらいました。
その結果、多少の違いはあるものの、概ね以下のような結果になりました。
・会計データの入力&チェック&修正に60分~90分
・試算表の説明に15分~20分
・今後の話等に5~15分
という状況でした。
みなさまはどう思われましたか?
「まあ、そんなものじゃないの?」という方、「えっ、自計化で90分もかかるの?」と思われた方、「今後の話が随分短いねえ」と感じた方、感想は人それぞれだと思います。
では、実際にこれを書いてもらった私はどう感じたか?と言いますと、「これでは、経営者が毎月、担当者と話をするのを楽しみに待っていてくれることはないだろう」ということと、「もし、毎回このような状況だったら、値下げ交渉されるか、他事務所に切り替えられるだろうな」とも思いました。
なぜかと言うと、担当者が最も時間を費やしている「会計データの入力&チェック&修正」は、大事なことかも知れませんが、経営者から見れば単なる代行作業であって、経営者にとっては直接的な価値は何もないからです。
では「試算表の説明」はどうでしょうか?
担当者の中には、「こここそ腕の見せ所」と思って頑張っている方もいらっしゃると思いますが、残念ながら、これも経営者はあまり興味はありません。
なぜならば、試算表の説明は「1ヶ月から1.5ヶ月前の過去の話」で、聞いたところでだいたいわかっていますから、有能な経営者であれば「経理に伝えておいて!」と言い残し、あまり同席はしないでしょう。
では、経営者が最も興味がある「今後の話」はどうでしょう?
ここについては、担当者が毎回有益なアドバイスをしてくれるなら、多くの経営者は時間をとって、じっくり話をしてくれることでしょう。
しかしながら、現実的には、5分~15分程度で「売上は伸びそうですか?減りそうですか?それは困りましたね」程度の会話であれば、経営者が時間を割いて話に耳を傾けてくれることはないでしょう。
つまり、大変残念ですが、上記のような内容では、経営者は会計事務所のサービスに全く価値を感じないということなのです。
では、担当者は一体どこで、経営者に価値を提供していると思っているのでしょうか?
それが「90分もに及ぶ会計データのチェック&入力」なのです。
担当者にしても、自分が大したアドバイスができていないことはわかっています。
そして、できれば、経営者に有益なアドバイスをしたいと思っています。
でも、残念ながら、何を話して良いかわからないのです。
では、どうするか?
その答えが、「会計データのチェック&修正を頑張ること」「先方が入力できなけれな代わりに入れてあげること」なのです。
そして、「私もこんなに時間をかけて大変な作業をしているのです」とアピールすることで、自らの価値を演出しようとしているのです。
しかしながら、「担当者の思いとは裏腹に、経営者は全く価値を感じてくれない」ので年々、顧問料は下落し、解約が増えているのが現実です。
そろそろ、「月次の内容」を担当者任せにせず、具体的にメスを入れる段階になってきましたね。
次回からの配信希望の方はこちら → https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=EvowxEvg