「自計化をすればもっと効率化できる」は単なる思い込み
所長先生から相談を受けると、最近は「効率化&生産性」に関する相談が多い。
その際、どのような対策を考えられているかとお聞きするとその多くは以下の3つに集約される。
- 顧問料の高い仕事を拾うようにする
- 記帳代行は受けない
- できるだけ自計化を勧める
そうおっしゃる先生は「自計化をすれば職員の作業が減って効率化が進む」と思われているのだと思いますが、果たしてそうでしょうか?
職員の方に聞きました。客先に2時間いたらどのように時間を使っていますか?
この表は私の複数のお客様の経験年数5年~10年前後の職員の方に「自計化のお客様に2時間滞在したとしたらどのような時間配分でどのような仕事をしますか?」と尋ね、それを集計した結果です。
まず、Aさん・Bさん・Cさんを見ていただければわかるように、客先での大半の時間を未入力の入力と修正作業に費やしています。
もちろん多少のチェック作業はあると思いますが、それにしても長すぎると思いませんか?
更に見ていただきたいのは経営者に会っていなかったり、会っても経営に関する話をほとんどできていないということです。
では、なぜ経営者と経営に関する話ができないのか?ということですが、その理由は
- 日頃から有益な話にならないので経営者が出かけてしまうから
- 担当者も得意な試算表と税務の話に終始し、経営の話を避けているから
- 経営の話が出てもわからないので適当にかわして深く関わらないから
会う価値がないから、他の安い税理士を探そうか…
では、どういう担当者だったら経営者が会いたいと思うのでしょうか?
それがまさにDさんです。
Dさんは事前監査を行って訪問前に不明勘定等は全てメール or 電話で確認をしているので、現地での入力&修正&チェックがほとんどありません。
そのため、滞在時間の大半を経営者との経営相談費やしていますので、経営者の評判も良く、顧問料も高めとなっています。
ですから、Dさんのような自計化であれば経営者の満足度も高く、効率化もできますが、特にAさん・Bさんレベルの自計化では、経営者の多くは「折角来ても経理の机or応接を占領して何か打ってるだけで、さしたる相談も情報提供もないから、だったらもっと安い税理士事務所を探そうか?」と税理士を切り替える原因にすらなっています。
本当に効率化&生産性向上を目指すから
このように、中途半端な自計化は業務の効率化にもつながらないばかりか、「先方で作業する」という大義名分があるが故に、経営者と話もせず、経営者の満足度も低く、税理士切り替えの原因となっています。
そこで。もし本気で効率化を目指すのであれば
- 有料で初期指導をしっかりやって、完璧に自計化をしてもらう
- 業務フローが確立されていない顧問先には、有料で業務改善コンサルを行って、こちらのやりやすいように業務フローを変更してもらう
- 入力ができない、出来るがイヤという客には、記帳代行に切り替える
ということが必要です。
ですので、必ずしも「自計化すれば効率化できる」「記帳代行は儲からない」ということではないということです。